by 廻 由美子

【新しい耳】@B-tech Japan 2025〜響き合う20年代!〜
4/5(土)「サウダージ・ジャポニカ」〜魔都・上海1920s〜
沢田穣治(cb) 伊左治直(作曲・鳴り物) 新美桂子(歌、朗読)
桑鶴麻氣子(朗読)廻 由美子(pf ・アレンジ)
今回は4月5日公演の「魔都・上海1920s」について、「その3」です。
も、合わせてお読みいただけると嬉しいです。
昭和の初め、上海には長崎から連絡船を使うと26時間くらいで行けたようです。
「エ!そんなに長く!」と思うなかれ、その頃にしては、超最速です。
船はなかなか豪華で、お金持ちはサロンやバー、高級レストランのついた1等で優雅に上海へ向かい、優雅なホテルへ逗留。
そしてお金のない、たとえば詩人の金子光晴などは大混雑の雑魚寝大部屋、3等で向かい、アヤシイ裏町へ溶け込んで行きました。
1842年にアヘン戦争で負けて以後、上海には、イギリス/アメリカの共同租界、フランス租界、と出来、欧米風の立派な建物が立ち並び、最新ファッションで着飾った男女が散歩などしていたようです。
オーケストラやバレエのコンサートもありました。1917年のロシア革命で逃げてきた一流の演奏者やバレエ・ダンサーたちがたくさんいたのです。
でもオーケストラで弾ける、なんていうのはとてもラッキーな人たちで、革命で逃げてくる、ということは、それまでは貴族とか大地主で、労働なんかしたことない、という人たちが多いでしょう。
ロシア貴族の女性が身体を売ったり、そんなことも珍しくなかったようです。
「夜の上海」の顔ですね。
水運業者、港湾労働者、などがひしめいている上海の港。となると、それらを取り仕切るボスがいなくてはなりません。オーケストラを仕切るのとはワケが違います。
有名なのは「青幇」というマフィアのような組織で、カジノ、レストラン、キャバレー、もっとヤバい店、などを手広く経営していました。そういう組織は、もちろん政治家の偉い人と結託もします。
蒋介石はこの「青幇」とうまいことやり、1927年には共産党を大量に殺害したと言われています。
光と闇が交差する1920年代の上海、まさに魔都、です。
4月5日のコンサートでは、「煌めく上海」「うらぶれた上海」「アヘンの上海」「日本人と上海」など、いろいろな面をお見せしたいと思います。
ヴォーカル、ピアノ、コントラバス、その他、鍵盤ハーモニカや様々な鳴り物、それに朗読が音楽の一部として交差し、目眩く世界を表現します。
プログラムの一部です
ウエルカム上海
浅川マキ「かもめ」
などのヒットナンバーに加え
伊左治直:ルコウソウ
林光:夢 / あばよ上海
サティ:グノシエンヌno.1
ミヨー:タンゴ・フラテリーニ
などなど
そして、上記の音楽に、金子光晴、吉行エイスケ、ジャン・コクトー等の詩がモビールのようにユラユラ交差。
マジカルな音楽絵巻、どうぞご期待ください!
2025年3月7日・記
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