by 廻 由美子
前回の「林光」についてはこちら
さて、シェーンベルクのベルリン・キャバレー時代については以前お話ししましたが(mimi-newsの「キャバレーとシェーンベルク」をご覧ください)、今回は、その歌詞の内容をご紹介したいと思います。
詩人の名前にもワクワク!
さすが、シェーンベルクが選んだ詩人たちとなれば、一味違います。
アルバン・ベルクのオペラ「ルル」の原作である「地霊」「パンドラの箱」の作者であり、自らもキャバレーでギターを持って歌い、若かりしブレヒトに多大な影響を与えたヴェーデキント(1864〜1918)
ユーモア小説から詩、台本、舞踊劇、雑誌編集、「ドイツのシャンソン」の編纂など、世紀末を自在に駆け抜けたビーアバウム(1865〜1910)
モーツアルトの歌劇「魔笛」の台本作家としても有名ですが、それにはとどまらない劇場人、天才興行師であったシカネーダー(1751〜1812)の名前も見えます。
歌詞を眺めていると「ったくもう!」という気分にもなりますが、いやいやどうして、こういう詩人たちは、その鋭い批評眼で社会を見て、ユーモアと皮肉を効かせた言葉を散りばめて、世間に「気づき」を与えてきたのです。
では、歌詞大意をお楽しみください。
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シェーンベルク:ブレットル・リーダー
歌詞大意:廻 由美子 helped by 工藤あかね
「ガラテーア」
詩:フランク・ヴェーデキント
僕の欲望はムラムラだよ、ガラテーア
キスさせておくれ、かわいいホッペに、
髪に、手に、膝に、足に
でもお嬢さん、唇だけは許しちゃいけないよ
病みつきになっても知らないよ
想像するだけにしておかないと
「分をわきまえた愛人」
詩:ヒューゴ・サラース
彼女の黒猫はフワフワ毛並み、僕の頭はツルッツル
グラマーな彼女はソファに寝そべり、猫をナデナデ
僕も撫でて~、と猫をハゲ頭に乗せる
彼女はクスッとわらい、猫をナデナデ
「ギガレッテ」
詩:オットー・ユリウス・ビーアバウム
ギガレッテちゃんが僕をお茶に呼んでくれた
真紅の部屋で、純白の衣装包まれた彼女は
まるでピエロのよう
修道僧でも彼女を好きになるさ
僕たちは馬車に乗り
「陽気」という国に旅立つんだ
恋の女神をお供にして
「アルカディアの鏡から」
詩:エマヌエル・シカネーダー
たくさんの女性に会って、
僕のハートはブンブンうなる
女性の良さがわからないヤツは、
ひとりの娘に抱かれてりゃいいさ
でも僕は、大勢の女性の周りを飛び回り
一緒にハートをブンブン鳴らすんだ
「それぞれに取り分を」
詩: コリー
兵隊のガスパー君は、閲兵場で大行進
銃はキラキラ、群衆は浮かれて叫ぶ
ブラボー!
さて、僕はかわいい愛人と、
あんなこととかこんなことしてお楽しみ
兵隊さんが守ってくれるよ
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廻 由美子
2024年4月12日・記
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