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アナザー・ピエロとHISASHI

by 廻 由美子


前回の「公演レポート」はこちら

「月に憑かれたピエロ」のアンサンブル版には数々の演奏がありますが、クレオ・レーンのヴォーカルによるバージョンはご存知でしょうか。

クレオ・レーン(Cleo Laine 1927~)は、ジャズ、R&B、ソウル、と歌いこなし、特にそのスキャットの素晴らしさで有名なイギリスの大御所シンガーです。

彼女による「月に憑かれたピエロ」は1974年に、ロンドンのグループThe Nash Ensemble と一緒に録音されたもので、英語で歌っています。

こうして聴くと、ドイツ語と英語の「音表現」の違いに驚かされます。

ムチで打つかのようなヒュッ!とした音や、シャカシャカした子音、革ブーツでカッカッと歩くようなリズムが際立つドイツ語に比べ、クレオさんの英語はとても流麗に聴こえます。

元々はアルベール・ジローの書いたフランス語詩ですので、また違う響きですね。こうなると色々な言語で聴きたくなります。

個人的にぜひ聴いてみたい(読んでみたい)のは、漢詩による「月に憑かれたピエロ」です。どなたか漢詩のお得意の方はぜひ〜。

さて、話を戻しますと、このクレオ・レーンとThe Nash Ensembleの「月に憑かれたピエロ」はグラミー賞のクラシック音楽部門にノミネートされるなど、高評価を受けました。

クレオさんのお人柄がきっと優しく暖かいのでしょうか、流麗な英語と相まって、どこか「絵本の読み聞かせ」的な面白さもあります。

The Nash Ensembleの演奏もイキイキとしていて、あちらこちらから効果音のように音が飛んできて、最後までとても楽しめます。

絵本で思い出しましたが、アニメ「トムとジェリー」の作曲者、スコット・ブラッドリー(Scott Bradley 1891~1977)もシェーンベルクの影響を受けたようです。そういう私も「月に憑かれたピエロ」練習の際に「トムとジェリー」がチラチラしました。

もちろん、トムジェリの動きと音楽のリンクの凄さは格別なので、あらゆる曲で参考にしているのですが。

さて、そのクレオ・レーンですが、彼女のこの録音を教えてくれたのは、次回のシリーズで共演するジャズ・シンガーのHISASHIさんです。

なにしろHISASHIさんはクレオ・レーンから絶賛されているのです。

彼がヒソッと教えてくれたのですが「アメリカにはボビー・マクファーリンがいるけど、日本にはHISASHIがいるのね」と言われたとのこと。なんとステキな!

そのHISASHIさんとのコンサート

7月6日(土):HISASHI(vo)x 廻 由美子(pf) 

カバレットvol.3 〜笑いと抵抗の文化・ホランダーと林光〜 

ホランダーについてはこちらで詳しく書いていますのでぜひご一読ください。

B-techの素敵な空間で、初夏に「粋」なひとときはいかがでしょう。

ご予約はこちら

2024年5月17日・記

廻 由美子

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